実習生の方へ

 

精神科実習を実りあるものにするために?

信貴山病院グループハートランドしぎさんの実習調整担当者から、実習を受けるにあたっての心構えをお伝えします。

後藤恵 教育担当長

1年間の様々な実習の中で

精神科で実習を受けられる学生さんへ

約1年の実習の中、精神科実習で皆さんが受ける印象はどの様なものでしょうか?
精神科病棟に入院したことがどんなことなのか?入院する前の患者様はどんな人だったのか想像できますか?皆さんが今までに体験したことがないような困難、苦しさや生活のしづらさが患者様の中に潜んでいて、それは目に見えにくいものでもあります。それをしっかりと解るかどうかで、その後の看護の展開を左右される。最近は精神科での対応の仕方とか事例研究的なものなど、さまざまな本や雑誌に載っている。でも最後はやっぱり現場力。自分の言葉や表情や態度を道具に(人によっては武器に)患者様をしっかりと観察し、話を聞き、会話して患者様に看護を展開していく。(現場力を高めるために事例検討などを頑張るのだけど)

「私はあなたの担当をさせていただきます○○です」といった時点で、何もしなくても相手はいろんなことを考える。患者様は良くも悪くも影響を受ける。それを受けて看護師もまた影響を受ける。たかだか2~3週間の実習でできることは限られている…かもしれないが、一つ一つの場面をしっかり振り返ってみると、そこにも精神科看護の奥深さや面白さが見え隠れしている場面がたくさんあると思う。

“患者様のことを知って、何か計画を立てて患者様に変わってもらう。そんな難しいことを2週間の実習では無理!”などと精神科実習を嫌がらないで。患者様とのかかわりを第3者的に見てみたり、自分自身の内面を振り返ってみたりすることで、あなたの精神科実習はとても有意義で魅力的な実習になると思いますよ。

実習を迎えるにあたって

信貴山病院グループのハートランドしぎさんで働く実習指導者からのメッセージです。

遠山 千幸 精神療養病棟-閉鎖-(南3病棟)

遠山千幸

 南3病棟は男女混合の精神療養病棟(閉鎖)として長期的な治療・療養が必要な患者様が入院されている病棟です。精神疾患や認知症といった様々な疾患の患者様がおられますが、症状が安定しているので、とても静かで穏やかな雰囲気です。精神科実習は私自身もそうでしたが、言葉かけや距離の取り方にとても悩みました。教科書通りにならず、コミュニケーションがこんなにも難しいのかと思いながらも患者様の全てを知ろうと必死になったのは精神科実習が一番であった思います。疾患だけをみるのではなく、その人全てをみるという事を実習で教えてもらい、この環境でここのスタッフと働きたいと思いすぐにハートランドしぎさんに就職を決めました。看護師として観察力や想像力はもちろん大切ですから実習でも指導に力をいれます。それ以上に患者様とじっくり向き合い表情、言動、行動ひとつひとつに関心をもつことを教えています。実習での学生さんが引き出す力には本当に感心させられますし、学生さんと一緒に自分も成長できたらと思います。

江田 智美 精神科スーパー救急病棟(北5病棟)

江田智美

 私が働いている病棟は、精神科スーパー救急病棟です。36床の男女混合閉鎖病棟で、入退院による病棟稼働率が高く、入院患者様の年代も10歳代から90歳代と幅広く、症状は幻覚妄想状態、興奮状態、昏迷状態、不安・焦燥状態、躁状態、うつ状態など多岐にわたります。主に症状が急性増悪し地域での生活に支障をきたし、治療と休息を要する方々が入院される病棟です。また、早期治療・療養をすることで3ヶ月以内の退院を目指し、早期病状の安定・社会復帰を目指した看護を提供しています。その為、個別性を重視しながら、医師や他部署と協力し、治療・看護を実践しています。スタッフも、忙しい時ほど声をかけ合い、お互いに助け合い、自己研鑽し、楽しく働いています。
 精神科は、“怖い、接し方が難しい、教科書通りにいかない”といったことを良く耳にします。病棟実習では、その人本来の人間性をまずは知って頂くことから始めます。そして、実際に看護の場面を見て頂くことで、精神疾患をもつ患者様との関わり方や、倫理面についても考える機会を作り、学びを深めて頂けるように心掛けています。
 看護は困難の連続です。もし困難に遭遇したときには根拠を持って、助言や指導をし、学生個々に応じた学びの手助けが出来るように、また一緒に考え成長できたらと思います。学生もチームの大切な一員です。楽しみながら実習に臨んでください。

梅本 由香 精神療養病棟-開放-(西3病棟)

梅本由香

 西3病棟は男女混合の精神療養開放病棟です。統合失調症の患者様がほとんどで、病院での治療が長期に必要とされる方が多く、平均年齢は69歳、平均在院日数が3,716日となっています。現在は、長期に入院している患者様も社会復帰ができるよう、退院支援にも力を入れています。
 開放病棟では、比較的ADLが自立した患者様が多いのですが、同じ病名であっても症状は様々です。実習生には、疾患や症状を理解するのはもちろんのこと、疾患を持っている一人の人として患者様に関わって欲しいと思います。精神科看護では、成人・老年・小児・母性看護等とは時間の流れの違いを感じると思います。看護の基本であるコミュニケーション技術や自分の特性を踏まえて道具として活用すること、患者様の強みを活かす看護を学んでもらいたいです。ゆったりとした時間の中で、患者様の僅かな変化に気付き、患者様の小さな1歩を患者様とともに喜ぶ、そんな実習を経験してもらえたらと思います。「看護って楽しい」そう思える実習ができるように、スタッフ一同でサポートしていきたいと考えています。

山下 真祐子 精神療養病棟-開放-(東3病棟)

山下真祐子

 私自身、指導で一番力をいれていることは、実習の期間内で精神看護についてのやりがいや楽しさを感じてもらう事です。実際自分が学生の時に、授業では精神科の面白みを感じることができませんでしたが、実習での経験が今の自分に繫がっていると感じています。その為、実習期間がどのような成果で過ごせるか重要だと思っています。その時の初心を忘れずに指導することを頭に置いて指導するようにしています。後は、学生が自分で考えた事や思いを大切にし、指導側の意見を言いすぎないようにして、考えたことを看護に十分活かせるように指導しています。受け持ち患者様に対して、個別的な看護ができ、学生の看護観を形成できるような実習になるように心がけています。
 当病棟は男女混合の療養病棟であり、患者様の自活能力を最大限に発揮できるようサポートし、その人らしさを獲得できるように支援しています。社会復帰の病棟として、患者様の自信と意欲につながるようにその時の状態に応じた対応を行っています。患者様に対しての対応や日々の変化についてのカンファレンスを毎日行い、スタッフで質の高い看護を提供できるように心がけています。

ケーススタディー